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ブランディング、デザイン、およびShopifyを利用したEC制作事業「TUNA EC」を展開する株式会社RESORT様。前回(第1回)の記事では「営業活動の属人化」と「商談情報が一切蓄積されていない」課題を解決するために、なぜSTRIXを導入したのか?営業担当の田渕様にインタビューをさせていただきました。
STRIXの導入によって定性情報のデータベース化に成功し、組織全体での情報共有・営業戦略意思決定に変化があった一方で、情報が蓄積され始めたことで、新たな壁に直面します。
それは「そもそも、営業が聞くべきことを聞けていない」という課題でした。
第2回となる本記事では、STRIXの「リアルタイムプレイブック」や「4象限管理」を活用し、いかにして営業の質を標準化し、受注率を2.1倍にまで引き上げたのか。その具体的なプロセスと組織変革の全貌に迫ります。
▼ 第1回の導入事例記事はこちら
「情報ゼロ」の属人化営業から脱却。 商談の“定性情報”をデータベース化し、 サービス改善と組織営業を加速するSTRIX活用術
情報は溜まった。しかし、中身が「空っぽ」だった
── 第1回では、STRIX導入によって商談ログが自動で蓄積されるようになったとお伺いしました。その後、どのような課題が見えてきたのでしょうか?
田渕氏:
情報が蓄積され始めたことで、残酷な現実が浮き彫りになりました。それは、「そもそも営業担当者が、受注に必要な情報を聞けていない」という事実です。
いくら商談のログを残しても、その中で肝心の「予算感」や「納期」、「決裁ルート」といったBANT情報が語られていなければ、戦略の立てようがありません。ログを確認すると、クロージングの段階になってもまだ要件が曖昧なまま進んでいる案件が散見されました。

── なぜ、そのような「聞き漏れ」が起きていたのでしょうか?
田渕氏:
分析した結果、聞き漏れの原因は大きく4つのパターンに分類できることがわかりました。

忘れていた: 単純に聞くつもりだったが失念した。
タイミングがなかった: 話が脱線してしまい、聞く機会を逸した。
聞く相手ではなかった: 決裁権のない担当者に予算を聞くなど、相手を見誤っていた。
そもそも聞こうと思っていなかった
特に4つ目の「聞こうと思っていなかった」は、トップセールスとそれ以外のメンバーの差が顕著に出る部分です。トップセールスは無意識に「受注から逆算して今これを聞くべきだ」と判断できますが、経験の浅いメンバーにはその判断軸がありません。
結果として、トップダウンで「これを聞きなさい」という指示も形骸化し、現場任せになってしまっていました。
「30件の商談分析」から生まれたリアルタイムプレイブック
── 営業メンバーが適切にヒアリングできない課題を、STRIXを使ってどのように解決されたのですか?
田渕氏:
STRIXの「リアルタイムプレイブック」機能を活用し、ヒアリングの完全な型化を行いました。
まず最初に行ったのは、過去の商談データの分析です。STRIXに蓄積された直近30件ほどの商談ログを分析し、「受注に至った案件では、いつ、誰に、何を質問しているのか」という勝ちパターンを抽出しました。
こうして作成したプレイブックをSTRIXに実装しました。これにより、実際の商談中、会話の内容に合わせてどの項目を聞いたのか、どの項目が聞けていないのか、リアルタイムにわかるようになりました。

── 現場の営業メンバーからの反発はありませんでしたか?「管理されている」と感じる方もいそうですが。
田渕氏:
実は、それが全く逆でした。メンバーからは「めちゃくちゃ楽になった」と大好評だったんです。
これまでは、商談中に「あれ聞いたっけ?」「次は何を聞かなきゃいけないんだっけ?」と脳内のメモリを使いながら会話をしていました。しかし、STRIXが横でガイドしてくれれば、必要な項目は画面を見るだけで確認できます。
「聞き漏れがないか」を気にするストレスから解放され、目の前のお客様との対話や提案に100%集中できるようになった。これは営業メンバーにとっても、そしてお客様にとっても大きなメリットでした。
結果として、導入後すぐに「聞き漏れ」はほぼゼロになりました。
「4象限管理」が営業会議の景色を変えた
── 聞き漏れがなくなり、質の高いデータが集まるようになったことで、マネジメント面での変化はありましたか?
田渕氏:
営業会議の質が劇的に変わりました。具体的には、案件を「4象限」で管理する運用に変えました。
STRIXには、商談の内容をもとにAIが算出した「取引スコア(受注確度)」が表示されます。これを縦軸に、SFA上の「取引フェーズ」を横軸にとってマッピングするんです。
右上(フェーズ進・スコア高): 順調な案件。基本的に放置でOK。
右下(フェーズ進・スコア低): 一見順調に見えるが、課題が残る案件。
左下(フェーズ遅・スコア低): 見込み薄。早期に撤退判断ができる。
左上(フェーズ遅・スコア高): ネクストアクションを即座に打つべき案件。
最も重要なのが、右下(フェーズ進・スコア低)の領域です。ここには取引フェーズが進んでいるのに、取引スコアが低い案件が整理されています。

── フェーズは進んでいるのに、AIのスコアが低い。ここには何があるのでしょうか?
田渕氏:
ひとことで言うと、営業担当者は「進んでいる」と報告していても、AIは「決裁者に会えていない」「予算が握れていない」といったリスクを検知している状態です。
発送としては4象限でアクティブな取引の現状を俯瞰した上で、優先度を付けて個別確認していく流れになるのですが、これまでの営業会議だと順調な案件(右上)の報告に時間を使ってしまっていたんです。しかし今は、「右下の案件をどう次のフェーズに前進させるか」という議論に集中できるようになりました。
これが、営業受注率を大きく改善できた要因の一つだったと振り返っています。
データが見せた「売れる法則」と、受注率2.1倍の達成
── 定性・定量両面での改革が進んだ結果、どのような成果が得られましたか?
田渕氏:
最終的に、SQL(有効商談)からの受注率が2.1倍に向上しました。
これはヒアリング項目の聞き漏れや、マネジメント業務の変化によるものだけではなく、蓄積されたデータから「顧客セグメントごとの営業勝ち筋」を整理できたことが大きいです。

例えば、「Shopifyへのリプレイス」という案件を一つ取っても、元がSTORESやBASEなどのASPカートなのか、EC-CUBEやフルスクラッチなのかによって、刺さる提案が全く異なることがデータから明らかになりました。
さらに、多くのお客様が単なる「サイト制作」ではなく、その後の「売上を作るためのグロース支援」を求めていることも明確になりました。そこで営業トークを「制作パッケージ売り」から「事業成長のパートナー」という文脈に切り替えたところ、受注率が跳ね上がったのです。
── 勘や経験ではなく、ファクトベースで戦略を変えた結果ですね。
田渕氏:
その通りです。これまでは「多分こうだろう」という仮説で動いていましたが、STRIXのおかげで「事実としてこうなっている」という根拠を持って動けるようになりました。
属人性を排除し、誰が商談しても「聞くべきことを聞き、刺さる提案ができる」状態を作れたこと。これが受注率2.1倍の正体です。

成功の先に見えた、次なる「デリバリー」の課題
── 営業組織としては、理想的な状態に近づいたように見えます。今後の展望をお聞かせください。
田渕氏:
実は、売れるようになったことで、新たな課題も生まれています。それが「営業からPM(プロジェクトマネージャー)への引き継ぎ」の問題です。
受注数が増えたことで、営業段階で握った細かい要件や、顧客の将来的な構想が、制作現場に正確に伝わらないというエラーが発生し始めました。 これまでは気合と根性でカバーしていましたが、組織が拡大する中ではここも仕組み化が必要です。
ここでもSTRIXを活用し、商談の文脈やニュアンスをいかにロスなくPMへ渡すか。現在はこの課題解決に取り組んでいる最中です。これについては、また次回の取材でお話しできればと思います。







